覚えた単語が使えない! ~ その脳のメカニズムとは⁉
皆さんは、知らない単語の意味を辞書で調べるだけで終わっていないでしょうか。これだけでは、読めばわかるけど、自分では使えない単語(passive vocabulary)が増えていきます。そして、このような単語は忘れやすいです。どうせなら、単語の意味をしっかりと理解して、会話などで自分でも使える単語(active vocabulary)の量を増やしていきたいですよね。
脳科学的ににいうと「読む、聞く」といったインプット力と、「書く、話す」といったアウトプット力は別個の能力です。近年、ITと共に画像解析の技術も発達し、脳のMRI画像から人がどんな活動をしている時に、脳のどの部位が活発になるか、が分かってきました。
そして語学でも、聞く時、話す時などの脳の働きが解明されてきています。このような観点から書かれたのが、「脳科学的に正しい英語学習法」です。著者の加藤先生は、MRI等により脳機能を研究される医師であり、ご自身も脳科学の知見を活かし、英語を習得されています。
この書籍からは、同じ言語を扱っている時でも、読む、聞く、書く、話すのでは、脳の違う部位が使われていることが分かります。
それぞれが別個のスキルであることが分かると、以下のような事象も理解できます。
- 素晴らしい英語の論文を書ける研究者なのに、英会話ができない
- 外国語を聞き取って、理解はできるけど、自分からは話せない
覚えた単語を使える単語にしていくためには、その単語を使って書く、話すといったアウトプットのトレーニングの機会を積極的に作っていく必要があります。
まずは、何度も単語の書き取りをする、口で呟いてみるなど、取り組んでみましょう。10分~30分など、時間を決めて覚えたい単語をひたすら呟いていると、確実に覚えられます。家事や通勤の間に如何でしょうか。
野球のバットの素振りと同じで、何度も呟いた単語は、とっさの会話の中で自然と出てくるようになります。
自分でも使える単語を増やすトレーニングとは⁉
単語を使って、自分の身の回りの事を題材に作文してみよう!
そこで、お薦めしたいのが、覚えたい単語を使って、とにかく自分の身の回りのことを題材にして作文し、書いてみる、話してみるということです。
単語を記憶に定着させるためのアウトプットについて書かれているのが、言語学者の白井先生です。先生が務めていたカーネギーメロン大学では、週4時間 × 3か月の日本語入門コースがあり、自分や友人のことを話すために学生同士のインタビューを繰り返します。最後には15分程度の会話ができるようになるそう。
何故、自分や身の回りのことをテーマに作文をすると良いのかというと、心理学からも脳科学からも、人間は他人の事より自分の事の方が感情的に思い入れが強く、記憶定着の効果が高いことが分かっています。
(脳の中でも、自分の事については処理される部位が異なります。)
自分の興味の対象や、身の回りの関わりがある事柄を題材にすると、単語やフレーズが記憶し易くなります。
単語はフレーズとセットで覚えよう!
英語やドイツ語などには、名詞、動詞、形容詞と一緒に使われる前置詞がある場合が多いです。または、動詞であれば、必ず目的語を取る、など、何等かのルールがあるものが多いです。これらのルールを結合価と言います。以下に例を挙げます。
単語そのものの意味を覚えていくだけで、一緒に使われる前置詞などを意識していないと、やはり「自分では使えない単語」になってしまいます。この結合価を意識して、セットで使われるフレーズごと覚えましょう。以下に例を挙げます。
- 英語の動詞”provide”は「提供する」という意味ですが、”with”という前置詞とセットで使う事が多いです。
The travel agency also provides everyone with lunch. ― A provide B with C.
(その旅行会社は全員にランチも提供します。)
「Aが提供した結果、BがCを所有する結果となる」という型のため、”B with C”(BがCを持っている)という表現になります。”provide”だけでなく動詞の”endow”(寄付する)、”equip”(備え付ける)、”furnish”(備え付ける)、”present”(贈呈する)、”supply”(供給する)も同じ型を取ります。
- 英語の形容詞”familiar”は前置詞によって、意味が変わります。
I am quite familiar with this procedure. — be familiar with ~
(私はこの手順によく精通しています。)
That song is very familiar to Japanese people. — be familiar to ~
(その歌は日本人には非常になじみ深い。)
形容詞も前置詞とセットになるものが多いです。
- 名詞も前置詞との組み合わせによって、形容詞や副詞のような表現になることがあります。
Skilled workers are always in demand. — in demand
(熟練した労働者は常に需要がある)
In contrast with the beautiful countryside, the cities were very disappointing. — in contrast with ~
(美しい田舎とは対照的に、都会にはがっかりさせられた。)
単語そのものを覚えていっている方が多いように思いますが、このような単語とその前後の並びもセットで覚えていくことが、実際に使える記憶にしていくコツです。作文をする時にも、この結合価を意識して使いましょう。このような表現をきちんと使えると、ネイティブにも良い印象となるようです。
先程、覚えたい単語を何度も書き取る、あるいは口で呟くと良いと書きましたが、この並びのセット(結合価)ごと取り組んでみて下さい。
まとめ – 単語を簡単の覚えるための科学的アプローチ
語彙力は、語学習得の上で重要なベースであり、特に初中級レベルで集中的に取り組む必要があります。以下に単語を覚えるうコツを纏めます。
- 覚えたい単語を書く、言うトレーニングをしましょう。読んだ時に意味が分かるだけでなく、脳が自然とアウトプットできるようになります。
(単語を書き取る、口で呟くのも効果があります。) - 自分や身の回りのことを題材に、単語を使って作文をしましょう。自分に関わる内容では、記憶力が高まります。
- 単語だけでなく、その単語と一緒に使う前置詞や、品詞の並びとセットで覚えましょう。これによって、実際に自分でも使える単語になります。
語学学習は長い道のりですが、1日に30分、1時間など時間を決めて継続しましょう。必ず語彙力は伸びていきます。








